「はい」


リュンヌは下を向き、
しばらく黙った。

膝をつき頭を垂れて
遅れるように頷いた。




表情は俯いているので
見えない。

が、
白い手が小さく固く握られているのが
見えた。



それは
レイにも見てとれた。

だが、
レイは何も言わなかった。

これ以上は
この状態に耐えることができないのだ。




仕事中にも関わらず
崩れている顔を誰にも見せたくないのも一理ある。








見すえたゲビンが
声をあげた。


「…リュンヌ、こっちに来い。」


「リュンヌ…?」







可愛らしい声がゲビンより前、
いやレイよりも前から聞こえた。



先に進んでいた
ミニオンヌの郡が止まった。







「レイ将軍、
そこにリュンヌがいるのですか?」