様々な家の上にあるタンクを
風によって切る。


そして
そこから水を出させる。


身軽に家々を飛び回るため、
敵の目にはとまらない。




東から西へと来ていた炎も
タンクの水のせいで次第に弱まる。





リュンヌは
足を止めた。


声も出さない。







――もう、完全に火というものは

     エストから消えていたのだ――







彼は高台からエストを
見回した。


確認がとれたのか、
パレードが行われるペシュマ通りへと走り出した。