レイは小会議室の扉を開けた。
そこに居た誰もが
席を立った。
口々に挨拶を
口にする。
そんな中、
1つも表情というものに全く
変化のない青年がいた。
深く重たい黒髪に、
全てを吸い込んでしまいそうな黒き瞳。
「リュンヌ、
その格好に
見合う働きを頼むぞ。」
リュンヌと呼ばれた青年は
「はい」
と答えるだけだった。
この青年が
エストの将軍レイの末の弟であり、
今日この時より
レイ直属の新兵として出たリュンヌである。
「レイ将軍、
早速ですが、
会議のほうを…」
第一軍隊司令官:ゲビンが
掛けていた眼鏡を押し上げ、
持っていた書類をレイに渡す。
レイには内容が
ほとんどわかっているのだ。
パラパラと
紙の束をめくり、
机の上へ置いた。
一呼吸開けて、
口を開いた。
その場に居た
全員の背筋が伸びる。