電波ジャック~ハロー・ラバー~


ふと気づけば、時刻はもう夕方だった。
外の明るさも、俄かに夕方の気配がする。うるさいセミも、心なしか静かになっているような気がした。

視界の隅に映った左の腕時計が、五時を示している。
あと30分でチャイムが鳴って、生徒は帰らなければならない時間になる。

書類を書いてから、特別やることのなかった俺は、宿題をこなしていた。

「……時間、か」

俺は書類やプリントをまとめて、帰り支度をはじめる。

「帰るぞ、セイ」
「わりぃ。もうちょい掛かるからさ、先に帰ってくれよ。待たねぇだろ?お前の姉貴、うるさいじゃん。飯作れだの原稿手伝えだの」
「まぁな……」

俺の家族は、親父が単身赴任中。おふくろは夕方から朝にかけてパート。
実質、俺は5つ離れた21歳の姉と二人暮らしに近い。おかげで、好きでもないのに料理の腕ばかりが上がっていく。

俺は深々と息をついて、鞄を持った。

「じゃあ俺、先に帰るな。早めに帰れよ」
「あぁ。お疲れ」

聞こえた声に手を振るだけで返事を返すと、俺は教室を後にした。