電波ジャック~ハロー・ラバー~

天文部だからといって、俺達は特別やることがない。
時々ある天体ショーを見て、月一で黒田から出される課題をこなす。
部活はそれだけだ。

地学準備室を自由に使える権利と、時々は学校に一泊できるのが微妙な魅力。おまけに顧問は放任タイプ。なんとも都合のいい部活で、俺達は籍を置いている。


俺はセイの向かいで書類を広げる。部長の仕事はあんまり好きじゃないが、部員の多い吹奏楽部なんかはもっと大変なんだろう。

俺は小さく息をついて、去年の備品を買ったレシートを引っ張りだした。





(明日の放課後に折衝か……)

予算配分は、生徒会の会計部が決める。
そこのトップは電波女だ。

「勝てる気がしねぇ……」


はぁ~……と、深い溜め息をついた。
上半身を低めの机に投げ出す。


フッと、鼻で笑ったセイ。
俺はムッと眉をつり上げる。

「ま、頑張れ。俺は関係ねぇし」「この野郎……」
「言ってみただけの弱っちさなら、通用しねぇぞ」
「分かってる!」
「なら宜しい」

何だかんだでセイに勝てないのは、いつものことだ。




ふと首を窓側に傾けると、ジリジリと焼けているグランドが目に入る。

色々な運動部が走り込みなどをしているアップの時間。
その中でも一際珍しいのは、袴姿で走る一団だ。



「そう言えば、相田も剣道部だったな……」

クーラーの効いた教室で、俺はそんなことを呟いた。