「お話しはそこまでに。」
にらみ合っていたあたしたちは、審判の言葉で構える。
さっきの小娘扱いには、イラってきたんだよね
「それでは………」
後悔させてあげる
「……始めッ!」
ダンッ!
と、開始の合図がかかった途端、あたしは強く地面を蹴って、マッチョとの距離を詰めた。
けど、マッチョは来るのが分かっていたように、拳に力を込めた。
あたしが体術でいくと思って、カウンターでもするつもり?
甘いよ
「氷結魔法 氷刀!」
マッチョに近づく僅かの間に、あたしは氷刀を作りだす。
マッチョは一瞬驚いた顔をしたけど、構えた拳は解けないのか、そのまま突き出してきた。
勢いが乗った氷刀と拳がぶつかり合い、鈍い音が響く。
ジーンと少し腕に痺れが伝い、強化魔法をかけていなければ、氷刀を落としてしまっていたかもしれないほど、重い拳だった。
(ふ~ん 体の筋肉は見せかけなんかじゃないんだね)
内心でそう思っていたら、マッチョは突き出している右手をそのままに、今度は左手を打ち込んできた。
それを二刀目の氷刀で防ぐが…
(…ッ!なにこれ、重い!!)
片手だけでも重い拳が、両拳となったら威力は倍だった。