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いよいよ、あたしの番になった。





いよいよ、っていっても17番目だから、そんなに待ってないんだけど






階段を一段一段降りる度に、緊張が強くなっていくみたい






「…ふぅ!」





緊張してるときは、深呼吸、深呼吸!






『落ち着いて』





何故か、英の言葉が頭に浮かんだ。






うん。そうだよね、英!






…よし! 頑張ろう!


























「揃いましたね。では、両者向かい合って」

  



闘技場に上がると、このグループの審判である、真っ赤な猫がそう言った。






私の髪と瞳の色より、暗めの赤色は血の色のようで、血液の塊に見えて怖い…







で、あたしの相手は………









「なんだぁ? 俺の相手って、こんな小娘なのかよぉ。 あんた、強いのかぁ?」








…マッチョ!だね!






口元の髭も色が濃く、髪の毛は短髪。




スキンヘッドに近い頭で、髪の毛の色がよくわからない





見た目の年齢は、その髭のせいで、三十後半に見える。






一体、どれだけ鍛えたのかな?





二の腕も、脚も常人の倍はありそうなぐらい、太い。




胸筋は、服の上からでも十分にわかるほど、大きい

   




でも、女だからって弱いと思われるのは、気にくわない。





さっきまでの緊張も、どこかにとんでしまった。








「あたしじゃ、不満?」



あたしは、腕を組んで挑発するようにマッチョを見上げる。





名前知らないから、マッチョでいいや




 
マッチョは、あたしを上から下までジロジロと見た。 






え、なんなの?



そんなに見られると、気持ち悪い


     


 
少しの間あたしを見たマッチョは、また、視線をあたしの顔に向ける。

   





「不満って言えば、そうなるなぁ

でも、あんたよく見れば、すんげぇ上玉じゃねぇか

その紅い髪も綺麗だぜぇ

美人とやれるなら、弱くてもいいかもなぁ」






ニヤニヤと、卑しく笑うマッチョ






誉められてると思いたいけど、そのニヤニヤ顔は、なんか嫌い。






この人、あたしよりもかなり年上だと思うのに、こんな子供を女として、見てるのかな?






うっ! 自分で思ったことに、引きそう…






いくらあたし達が長寿でも、見た目の歳が離れすぎてたら、そんな卑しい目で見られたくない






あたしは、気持ち悪さで身震いした。