紅蒼物語





「……兎に角…試験は終わったから……
元の場所に、戻す…」








アオが尻尾を一振りすると、何もなかった空間に、円形の鏡のような物が現れた。








鏡の中は、黒や紫が、渦巻きのようにねじれている。







「……この中に入って……そしたら、元の部屋に戻れる……」






「ん、わかった。」






「……オキも…早く…」






振り返ると、オキはさっきのことがよほど怖かったのか、うずくまっていた。






地面は、オキの涙で濡れている。







「オキ」





また、アオが低い声で言うと、オキははじかれたように立ち上がった。





そして、小走りで駆け寄ってくる。






恐怖って、すごい。 人を従えることができるから 


 



だからこそ、恐いのだけど







……あれ? 




「オキ、髪伸びた?」







俺の、半歩後ろに来たオキの髪は、切られたはずなのに、元の長さに戻っている。







それに、切られた部分が消えていた。 まるで、切断面からくっつけたみたいだ。







「伸びただけよ。 言ったでしょ?伸びるのは速いって」







…確かに言ってたけど…







「速すぎ。 それに、切られた部分はどうしたの?」





くっつけたの?





そう聞くと、オキは軽く笑った。




声は、かすれていたけど




怯えていたのが、嘘みたいだ。






「あたくし達は、髪の量が多いでしょう? だから、切られた部分は、自動で消えるようになってるの。
便利でしょ」






べ、便利かな…?




まあ、後で片付ける時は楽だろうけど