「あなたは本当に馬鹿ですね。
普通、階段を使うでしょう?
シロ、悪いですけど試合の前に、菖蒲の足を治してくれませんか?」
「当たり前ヨ」
そう言って、私の足に尻尾を巻きつけるシロ
え、ちょっと!!
「ほえっ! いいよ!もう治ったよ!」
私はシロの尻尾をはがそうと、力を入れるが、
ギロリ、と絲夜にフードを被ったままでもわかるほどの鋭い目で睨みつけられて、抵抗は止めた。
尤も、シロの力の方が強くて引き剥がすのは、無理だったと思うけど
だけど、
「絲夜でも相手を気遣うんだねぇ」
感心したよぉ
「俺がそんなに相手を気遣わないと思うんですか? ぶち殺しますよ?」
と、ニッコリいい笑顔で言われてしまった。
…心配(?)してくれて嬉しかったのにぃ
足の痺れだけだったので、すぐに治り、私達は間を開けて向かい合った。
魔法は、遠距離のが多いからね
「ほえっ! 絶対に勝つ!」
私は、ツインテールをギュッ と締め直した。
笑顔のままそう言うと、絲夜はフッ と笑った。
「俺に勝てるとでも?
それよりも、あなたがどれくらい弱いのか、存分に見せてもらいますよ。」
「むー! 絶対絶対勝つもん!!」
私はカチンときたので、幼い子供みたいに、頬を膨らまして言ってやった。
子供過ぎたやり方だったので、絲夜にハッ と、鼻で笑われてしまった。