紅蒼物語




僕が飛び乗ったのに驚いたのか、奏汰は直ぐに反応できなかったため、鎖を消すことができなかった。








その間に僕は、鎖の上を走りきり、奏汰が左手に持っていた本を蹴り飛ばした。







「しまっ…!」







奏汰はとっさに手を伸ばすが、間に合わず、本は遠くに落ちた。






鎖も、当然消えている。







僕は奏汰の後ろにまわり、手と首をおさえた。







「これでもう何もできんやろ」



  


後ろからそう言ってやると、奏汰は




チッ と大きな舌打ちをした。







実際、本がないと簡単な魔法も使えないようで、奏汰はなすすべもなく僕に締め上げられていた。








「そこまで」







クロは僕らの前に降り立つと、静かにそう言った。







その言葉で、僕は締め上げていた腕をほどいた。






「あ、あの… 合否は…?」







奏汰は悔しそうな顔をしていたが、試合が終わったためか、すぐに最初のおどおどした表情に戻っていた。







ほんま、さっきと大違いや





結局、どっちがほんとの奏汰なんやろな






気になるけど、きっとどちらもが奏汰なんだろう。 ただ、感情の起伏が激しいだけなんだと、納得した。