「あ、あの! よ、よろしくお願いします…」
クロに呼ばれて、闘技場に上がってきたのは、
眼鏡をかけた人畜無害そうな顔に、筋肉がついていないようなひょろっとした体系をした男やった。
髪と目は、同じ深緑色で、その長い髪を下の方で一つに結んでいる。
緊張しとるんか、目が泳いでいる。
名前は、奏汰(かなた)というらしい
顔の大きさとミスマッチな大きな黒縁の眼鏡は、鼻からずり落ちそうだった。
歳は、僕よりも少し年上に見えたけど、
あまり戦闘に向いてないような印象を受けた。
「おう! こっちこそよろしくな~」
やけど、この人がどんな魔法を使うのか、凄く興味があるな~
軽い挨拶が終わった後、僕等は向き合った。
クロは背中から、光の一つもない闇のような翼をはやし、僕等の上を飛んでいた。
全く、使い魔っちゅうのは何でもありなんか
飛んでいるクロを見て、僕はそう思った。
「……では、試験始めっ!!」
「火焔魔法 星蛍!」
クロの合図がかかった瞬間、僕は奏汰に向かって、火属性の魔法を放った。
星蛍は、小さな炎を沢山放つ魔法で、扱い易い為、相手を閉じ込める檻になったりと色々便利な魔法だ。
小さいといっても、直接皮膚に当たればそれなりに火傷をするくらいの温度はある
やけど、星蛍は奏汰の周りを囲んだ瞬間……
バンッ と音をたてて、全てが弾け飛んだ。