紅蒼物語



闘技場の中はとても広く、闘いで壊れないように防御シールドがはってあった。




吹き抜けのような造りになっていて、闘う順番が来るまで、上の手すりの所で見ているらしい。




なんや、高みの見物みたいで嫌やな…




そう思っても、





「早く一番の人達前に来るネ
それ以外は、さっさと上で見ているネ」





とクロに急かされてしまって、一番以外の人達は、上に上がった。








手すりから見下ろすと、一番の二人は既に向かい合っていた。



どちらも、体格の良さそうな男だった。





「いいネ  合格だったら、直ぐにさっきの部屋に戻すからネ。

不合格だったら、残念だけど城の門の前に飛ばすからネ」




全然残念そうに見えやんな~




クロの、如何にも無関心そうな顔を見て、僕はそう思った。




クロは、面倒くさがりか?






「「はいっ!!」」




「では、試験始めるネ!」




二人が揃って声を上げたとほぼ同時に、クロが試合開始の合図を出す。





「火焔魔法 紅熊!」


「雷激魔法 舞雷!」




すぐさま手を突き出し、相手に仕掛ける両者




炎を纏った大柄な熊と、意思ある大蛇のような雷が、丁度二人の間でぶつかる!




炎と雷を纏った爆煙が、上に居る僕等のもとまで来て、全員が防御シールドを張る。




その間にも、下では破壊音が聞こえてくる。




元々、そこまで闘いを見たいわけじゃなかったけど、これじゃあ何も見えん。




爆煙が晴れるのを待っているうちに、破壊音が止んだ。





「──そこまでッ!」





クロの大きな声が響き、爆煙が晴れると、二人共が血だらけで倒れていた。




いや…一人はクロの声で何とか起き上がったけど、もう一人は何度も浅い呼吸を繰り返すだけで、仰向けに倒れたままだった。