紅蒼物語




楓は人混みに体の向きを変えて、手をメガホンの形にした。





そしてすぅッと息を吸い込み、





「絲夜(いとや)あぁ!!
こっちこおぉーーい!!」




と大声で叫んだ。





近くにいたあたし達は、その声をモロに聞いてしまい、耳がじんじんと痺れた。
















    







「……兄さん、叫ばなくてもテレパス使えばよかったのに」

 





人混みをかき分けて出てきたのは、さっき楓といたもう一人のフード君だった。


 




兄さん……ということは、楓の弟なのだろう。






フードで隠れていてはっきり見えなかったけど、楓より、眼の色が濃い気がした。






楓とは違い、普通の喋り方をしていた。



 


「あ、ほんまやな
忘れとったわ!」






はははッ、と笑いながら側に来た金髪君の肩をバシバシと叩く楓






金髪君は迷惑そうに顔を歪めていた。