紅蒼物語




「どうだ、鈴。引き受けてくれるか?」





陛下はじっとあたしを見た。





「はい。
 
西国潜入やってみせます。」






強くそう言うと、陛下はほっとしたように息を吐いた。




「引き受けてくれて良かった。

 潜入といっても、西国が何故急に勢いづいてきたのか、戦争に参加する人数がわかれば、報告してほしい。」







「わかりました。

……あの、潜入するのはあたし一人ですか?」






別にひとりでもかまわないけど、万が一東国だとばれたら、一人では危ない気がする






そう言うと、陛下は少し考えて






「そうだな…、なるべく極秘にしておきたいんだが…
 
仕方ない。信頼できる者であれば数人連れて行くといいだろう。

誰か希望はあるか?」






と言った。







信頼できる人……あたしには、絶対に信頼できる人が二人いる。






幼い頃から、三人一緒に遊んでいた。






でも、一人は多分忙しいよね






だとすればあたしが選ぶのは





「…菖蒲(あやめ)は、どうでしょう」




菖蒲だ。