「鈴(りん)よ、最近西国が不穏な動きをしていると気づいておるか?」






まだ、夜も明けきらない頃あたしは陛下に呼び出された。







あたしは、東国の軍隊に所属している。






軍隊は実力が全てだから、あたしみたいな小娘でも、戦闘能力が高ければ入ることができる。






もちろん、入隊試験はあるけど







昨日は訓練がなかなか終わらなくて、寝るのが遅くなってしまったため、この呼び出しは正直きつい








なんせ、自分の部屋から城までこなくてはいけないのだ。いくら隊員寮から近いといっても、きついものはきつい。








返事が素っ気なくならないように気をつけてないと







「はい。気づいています。」








そもそも、あたしが寝るのがおそくなってしまたのは西国が原因だ。







西国が戦争を仕掛けてきそうな行動をちらつかせてくるため、軍隊が気を抜けなくて、訓練時間も倍になってしまったんだ。










「実はな、近々東と西で戦争が起こると思うのだ。
 

…それもかなり大規模な、な。」






陛下は綺麗な青い瞳をスッと細めてあたしを見た。