『苦しい…雅也、離して…』

「ごめん!大丈夫か?」

あぁ…やっべぇー…

腕を緩めて頭を撫でると、ふふっと、満面の笑みで笑ってくれた

「そろそろ行くか…じーちゃん家」

『うん!』

しっかり手を繋いで病院を出ると、空が暗く曇っていて、雨の匂いが鼻をかすめた

じーちゃん家に戻って、ばあちゃんと3人で紅茶を飲みながら他愛ない話をしてると、リムジンが屋敷の外に停まった

『雅也!久しぶりだな』

笑顔で入ってきたじーちゃんに友里を紹介しようとすると言葉を遮られた

『おっ!噂通り可愛いな。君が友里ちゃんだね?初めまして』

呆気にとられている俺達を残して、ばあちゃんとじーちゃんはニコニコ笑っている

「じーちゃん……なんで…?」

『あぁ…さっき雅信が話しに来てね…全部聴いたよ。辛かったろうに…友里ちゃんは私が守ってやるからな。こんな可愛い娘ができて私は幸せ者だ!』

会議って嘘かよ…

親父のさりげない気遣いが、友里を歓迎してくれた事実が俺は凄く嬉しかった

ガハガハと豪快に笑うじーちゃんを前に俺と友里もつられて笑ってしまった