俺からお前へ

昨日のことを引きずったまま学校に行った。
まだ、誰にもガンのことは打ち明けていない。

(ガン…かぁ……ガン…なぁ………)

と思いながら歩いていたら誰かとぶつかった。

「あっ……」

女子の声だった。

「ゴメンね」と言いながら振り向くと、
あの山谷早織だった。近くで見ると案外可愛らしい顔をしていて、つい見とれてしまっていた。

「こっ、こちらこそ、ごめんね!」

と緊張しているような感じで足早に去っていった。

………意外と可愛かったな。

と思っていたら後ろから優磨と貴大が
ふざけたように背中をバッシバシ叩いてきた。

俺 「 ったく!いてーよ!」

貴大「山谷に見とれてたよなwさっきw」

優磨「見てたんだぞww」

俺 「見てたのかよ!!」

貴大「おおぅよ、しっかりこの目で見てたぜ!」

優磨「どうだ?山谷 結構良いと思うぞ?」

貴大「山谷 可愛かったんだろ?アタックしてみろよ~!絶対お前ならOK貰えるって!
向こうもお前のこと好きなんだし!」

(ガンの可能性あるんだし、最初で最後の恋って感じか…。一回してみようかな、恋。)

俺 「……うん」

優磨「うんっつったな!?言ったな?!」

貴大「キタ!了太の恋!」

俺 「明日、告ってみるわ」

優磨「今日じゃなくて、明日?」

貴大「今日何かあんのか?」

俺 「あぁ…うん、今日は早く帰らないといけねぇんだよね」

優磨「そうか、まあ、明日だな!」

貴大「てか、もう1限始まるぞ!」

「「「やっべえぇえぇぇえ!!」」」

猛ダッシュしながら俺たちは教室へ入っていった。

『遅いぞお前ら!!!!!!』

担任の怒声が教室中に響いたのであった。