俺からお前へ



家に帰ると兄の宏太(コウタ)が追い詰めたような表情で話しかけてきた。

「了太…ちょっとリビング来い」

「? あぁ」

リビングに行くと父と母がダイニングテーブルを囲んで座っていた。二人とも兄と同じように追い詰めた、かたい表情だった。

「了太、連れてきた」

そう言いながら兄は母の隣に座った。
俺は父の隣に座ると同時に父が口を開いた。

「今日、お前の血液検査の結果が届いた。これが検査結果の紙だ。」

と紙を渡された。そこには、

【広坂高校 1年1組 9番 国山 了太
㍻10年11月5日生 AB型 】
と書いてあった下の欄には、自分自身でも
驚愕なことが書いてあった。

【血液ガンの可能性あり】


……血液…ガン………? 俺…ガンなのか……?…………嘘だろ…………。

そう思いながら紙を強くクシャクシャに丸めた。

その俺の行動を見ていた母は、
静かに泣いていた。

兄「明日、病院行って詳しく検査してもらうことになったから。だから早く帰ってこいよ」

父「送り迎えはワシがやるから、しっかり検査して来い」

俺「……あぁ」

そう返事し、自室に入った途端、
涙がこぼれはじめた。

「ガンだなんて………!ガン…だなんて……!………クソッ!うぁああ!」






俺の毎日が変わった瞬間だった。