薄暗い、静まり返った廊下だった。


誰かが言葉を発さなければ物音さえ聞こえない。




どれぐらい時間が経っただろうか。



ベンチに腰掛けたふたりの男のうち、金髪にスーツといういかにもチャラい男が言葉を発した。



「……お前、何をしたかわかってんだろうな……」



静かだったが強い口調だった。



お前、と呼ばれたもうひとりの男。


彼は見た目は至って普通の青年だが、顔には殴られた痕があった。



長い沈黙のあと、ようやく返事をする。



「……わかってる」



「いつかこうなることぐらいわかってただろうが!お前がどんだけ結衣のこと苦しめたのかわかってんのか!」


もう冷静ではなかった。



「じゃあ……じゃあお前は結衣の何なんだよ!」


もうひとりの男も強く言い返す。



「俺は…俺は……」




男は悔しそうに俯いた。