町中を10分ほど走り、病院に着いたのだろうかサイレンが鳴り止む。



救急車が止まると、待ちかまえていたかのように後ろのドアが開いた。



搬入口には数人の看護士とひとりの医者がいた。



「篠田結衣さん、22歳、女性。数発顔を殴られた後、腹痛を訴え意識を失ったようです。バイタルは…」


救急隊員が看護士たちに伝える。



「彼らは現場に居合わせたようですが、篠田さんとの関係性はわかりません」


「わかりました。ありがとうございます」



話しながらもストレッチャーは処置室の前まで運ばれていた。



「あなたたちはここで待っていてください」



看護士が男たちに向かって強い口調で言う。


「結衣のこと、よろしくお願いします!」


ひとりの男が必死に訴え、深く頭を下げた。



もうひとりの男は呆然としたまま、処置室のそばにあるベンチに座り込む。



処置室のドアが閉まった……