「ふむ、記憶している面々が反応するようだね」
男子生徒は、スマートフォンをいじりながら薄暗闇の中でつぶやく。
いつもは背中まである黒髪を一つに束ねているのだが、今回はとりあえずお化け屋敷なので髪ゴムを外していた。
しかし、その容姿は恐ろしいというよりも人を惹きつけるほどに魅力的だ。
切れ長の瞳と薄い唇、細身だが引き締まった体型は十七歳という年齢よりも若干、大人びて見える。
「お昼だから食べてきていいよ」
「うん、ありがとう」
クラスメイトの女子がそう告げると、彼は上品に立ち上がって出口に向かった。
外の明るさにまぶしさを感じて目を眇める。



