いろはにほへと


勝手に、そう見えただけだと、思うのに。

曲が止んでも、トモハルは目を逸らさなかった。

そして、次の瞬間、破顔する。


「!」


それだけで、顔に一気に血が上った。

笑顔なんて、どれくらい見てなかっただろう。


まさか。

ー私だって分かって、笑ったり、してないですよね?違いますよね?歌い終わって、一息ついたっていう笑顔ですよね?


そう言い聞かせつつも、大きく弾む心臓。


「きゃー目が合ったー!」
「笑いかけられちゃったー!!」

近所で、私と同じ輩、頻発。

膨らんだ気持ちも直ぐにしゅーと萎んでいく。




《ー会見で、、今回の独立の件について、俺は、ルーチェがルーチェである為と、俺が俺である為だと言ったと思うんだけど。》


再びトモハルが、話し出し、場内は静まり返った。


《その部分を、皆にももう少し聞いてもらいたいと思う》


これまでの沈黙を破り、ルーチェが独立について言及するのは、これで二度目。