《花は咲いても散ってしまう》
《そう信じて疑わなかった》
《だから最初から何も望まなかった》
曲は、思い出をなぞるように演奏され、自意識過剰かと、反省。
ーリリース順、ですね、ただの…
アップテンポの曲が終わった所で、トモハルが普段の声で話し始める。
《こんばんは》
額には僅かに汗が滲み、黒の半袖に、カーゴパンツのトモハルはにこりと笑った。
話す時のトモハルの声だ、と、余韻を噛みしめる間もなく、こんばんはー!!!と一斉にファン達が返す。
その勢いの凄さに、吹き飛ばされそうだ。
《今日は、来てくれて本当にありがとう。こんなに集まってくれて、すごい嬉しかった。》
人懐こい笑顔が、自分以外に向けられることに、馬鹿馬鹿しい程切なくなって、かといってどうにもできないから、唇を噛んだ。
《色々、騒がせて、ごめんなさい》
トモハルが頭を下げると、ファン達は良いんだよーとか、待ってたよーと声を張り上げる。
《今回は、俺たちの新しい始まりでもあるんだけど、今までのルーチェがなくなる訳じゃない。それを知ってもらいたくて、敢えて曲の順番がリリース順になってる。って気付いた?》
孝祐がトモハルの肩に腕をのせ、代わって話しだすと、和やかな空気が流れる。
勿論、気付いたよー!!って声が返ってくる。
《もう少しちゃんとした説明をしようと思ってるんだけど、でも、その前に、これは外せないでしょう。》
それが合図だったように、宗司がドラムをパン、と叩き始め。
《フローライト》
紹介の言葉で、会場は割れんばかりの、歓声と拍手に包まれた。


