いろはにほへと





《いつか見上げた空はどんなだったっけ》


赤茶けた髪は、最後に会った時よりも、少し伸びて。


《いくら考えてみても思い出せない》


でも最初に逢った時よりも、まだ短い。



そして、その頃と変わらない声で。


私が初めて聴いた、ラジオから流れていたルーチェの曲を歌っている。




トモハルが、目の前に、居る。




腕にシルバーのボールチェーンのブレスレットをしている所まで見える。




何万人も居るこの会場で。
目が合うなんて奇跡、きっとない。

でも、期待してしまいそうな程、直ぐ近くな気がした。

それだけで、満足できそうな位、心が満たされる。

それだけで、涙が出てくる。

もう一度、この声が聴けて。

こんなに直ぐ傍で。

それが、許されて。