いろはにほへと



撮影の時も、桂馬にはずっと助けてもらってきてた。
不器用な自分よりもずっと、器用な桂馬は、頼もしかった。

トモハルへの想いに苦しんでいる時も、桂馬は教えてくれた。

雑誌に取り上げられた時も、助けてくれた。

だから。

だから、年齢は同じでも、経験が雲泥の差だから、桂馬は自分よりずっと落ち着いていて、大人だと思った。

私のことが好き、なんて冗談かと思ってた。

付き合って、って言われた時も、その延長なんだと思ってた。

見て、いなかった。

桂馬をちゃんと、見ていなかった。


『俺はちゃんとあんたが好きだよ』


そう言われた時、私はー



トモハルの事と重ねて見てた。



ーなんて嫌な人間なんでしょう…



そんな桂馬の気持ちに対して失礼な態度を取っていたのに。


ー何を偉そうに。



大人、なんて。

どうして、思ったんだろう。