いろはにほへと




『この話、受けて頂けないと、那遥は守れません。』



そう言ったのは、DYLKの社長だ。

でも、私はその話を受けなかった。

両親との、、父との約束を破りたくなかったから。

トモハルとの思い出が、トモハルにとって何でもなくても。

それが、売り物として世間に出されてしまうのは…どうしても嫌だったから。

でも結局。



「私は……何も…守れませんでした…」


掴まれている肩が、熱い。


「守ってもらうばっかりで…誰も…守れなかった…っ」


泣かないと決めたのに、こみ上げてくる。

それを必死に抑え込んだ。

故に、声だけは涙まじり。


「私は子供で…子供過ぎて…」


数十分前には、桂馬に会ったらどうにかなると思っていた。

桂馬に会えば、楽になると。

なのに。

こんなにしてくれているのに、さっきからずっと私の頭を占めるのは、桂馬ではなく、トモハルのことばかり。

それが裏切っているようで、苦しい。


「これ以上桂馬くんにも…迷惑かけられ…」


ない。

だから、、、ごめんなさい。


そう、言おうとした。