「似合ってんな。」
缶を二つ、片手に持って、その内のひとつを私にくれた桂馬は、コンクリの段の上に座って、そう言った。
髪がないせいで、風通しは良いし、赤面はバレバレ。
「長いのもー好きだったけど」
桂馬は呟いて、缶を傍(わき)に置いて、直立不動になっている私の短い髪先に触れた。
「いや、えっと…あの…こっ、これには深い訳がありまして…学校で、その…色々あって…」
桂馬はいつもいつも、距離が近くて、免疫のない私はそれだけで酸素が薄い高地に来たみたいになってしまう。
「大変だったろ?学校…」
マスクを着けたままだから、目だけしか見えないのに、桂馬のそれは確かに揺れる。
「そんなに大したことはありませんっ…」
恥ずかしさからどうしていいか分からず、私は早口で捲したてるように、かいつまんで、どうしてこんなに髪を切ることになったのか、経緯を説明した。


