いろはにほへと


《わかった。》


慌てふためいている私を余所に、桂馬は落ち着き払った声でそれだけ言うと、私の返事を待たずして、通話を切った。


ーわかった、って…何が…?


首を傾げながら、私は電光掲示板に表示された時刻を見て、焦りながら、改札を抜ける。

ホームは人で溢れていて、少しでも密度の少ない方へと、先頭の方にどんどん歩く。

列に並んだ所で、ちょうど乗る電車がホームに入ってくる。

中は既にいっぱいになっていて、反対側のドアの隅になんとか身体をねじ込み、窓から見える景色になんとなく目をやった。


すると。


「きれぃ」


はっとするような夕焼けが、きれい過ぎて。


いつもは我慢する一言がコロリと落ちた。