いろはにほへと



それに俺は気付いているのにー。


仕方ないだろうと思う。

ひなのはハルへの想いと向き合わずに、忘れるという選択をした。

ハルは、ひなのへの想いを封じ込めて、なかったことにした。


向き合った所で、どうにもならない。

その気持ちは、通じ合わない。
通じ合っても、叶わない。


二人の選択は、きっと正しい。



「着いたよ。」


喜一ちゃんの一声で我に返った俺は、車から降りて、スモークガラスに映った自分を見て呟く。




「…なんで、俺ばっかり、知ってるんだろうな。」



自身を嘲笑うように、歪む顔。


全てが見えた上で、ひなのを奪った俺は、正しかったのか。



俺は狡いのか。



答えは出ないまま。


4文字だけのメッセージを、彼女に送る。



【会いたい】