俺等を待っていたーそしてそれが終わった今。

帰った筈の二人が、未だ駐車場で立ち尽くしているなんて気付かない病院側は、ただでさえ全部ではなかった灯りを消した。

真っ暗にはならないが、まだ慣れない目は、一瞬、目の前の女を捉えられなかった。

途端近付いた、胸焼けがするような、苛々する香り。
押し当てられた唇。

目を見開く俺と、閉じた目を開く相手。


「ー相手が高校生じゃなかったら、隠したり諦めたりしなくて良かったのにって。」



蒔いた時には気付かなかった。

まさか、自分を蝕むことになるなんて、これっぽっちも思わなかった。



蒔いた種は、他を寄せ付けない早さでぐんぐん伸びて。

そして、あっという間に花をつけて、散って、実をつけた。


名前のない種から出た芽は、どこをどう間違ったのか、毒の実を結んだ。






「ねぇ…もう一回しませんか?」



にこりと不敵に笑んで、飯田は再び目を閉じた。