いろはにほへと

「そうーそういうこと、か。」


ピンときたらしい、流石のキラボーイこと、芝上さん。

こんな少しの会話だけで、察することが出来るなんて、デキる大人だ。


「わかった。思い切ってみようか。」


「はぇ?!」


瞬時に、澤田サイドに付いた芝上さんに、素っ頓狂な声で応じると、彼はにこりと私に微笑みかけた。


「大丈夫だよ。変にはしない。きっと気に入るから。」

安心させるような言い回しと、断言する姿勢に、うっかりうんと頷いてしまいそうだけれど。


「でっ、でもでもやっぱりあの、聞いてなかったですし…」

「ー結構すっきりするよ。」


しどろもどろになる私の肩をガシッと掴んで、向かいにある鏡の中に映った前髪の変な女の子に笑いかける澤田。


「古いかもしれないけど、失恋した後、ばっさり髪を切るって、流行ったらしいよ?」


そうやって、少しずつ忘れていこうよ。

私にだけ聞こえる声で、澤田はそう囁いた。