いろはにほへと



髪の色が灰色の、いや、銀髪っていうのか、襟足は短いのに、前髪とかは長めで、ソフトなツーブロックっていうのか、なんなのか。

美容院初体験の私に分かるわけがない。

だけど、縁の無い人だということは、痛いほど、分かる。

明るい照明。

白のタイル貼りの店内には、カウンターと、黒の大きなソファがあって、そこに澤田がぐいぐいと私を座らせる。

当たり前だけど、カット中の人や、とにかく洒落てる人達が沢山いて、完全なるアウェイ感。



「今日は私じゃなくって、この子をお願いしたいんですけど。」


二言三言挨拶程度の会話をして直ぐ、本題に入る澤田。


「あれ、前髪自分で切っちゃった?」


ズバリ、素人のカット、指摘する、洒落ボーイ。


「……すみません…」


益々小さくなる私。


「ああ、いや、怒ってるんじゃないよ。そこだけ直せばいい?」


確認する様に私に目を向けて、訊ねる彼に、頷こうとした瞬間。


「ううん。後ろの髪も、ばっさり切ってもらいたいの。」


腕組みをして、不敵に微笑むJK。