いろはにほへと

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茜色に染まる空を、澤田と二人、肩を並べて眺める放課後。


「ー思い切ったね。」


少し話せないか、と誘われて、立ち入り禁止の古い看板がぶら下がる鎖を跨いで、校舎の屋上に上った。

こんな経験は初めての事で、誰かに見つかりはしないかと挙動不審になる私を、澤田は笑って。

とっくに錆びて腐り、申し訳なさ程度にドアに付いているだけの役立たずな南京錠をそっと外した。


陽の暖かさを拭い始めた冷たい風が、二人の髪を揺らして、そして、澤田は私の前髪を指差したのだ。


「変、でしょうか…」


相当の勇気が要ったのだが、私としては決意表明のようなもので、澤田達のようになれなくとも、少しでも近づけたらと願ってのことだった。

だからといって、自信が自動的に付いてきてくれる訳でもなく、ただ、視界が開けて、自分自身の心拍数が上がるのみ。


大した変化はない。


計画的ではなく、突発的に行ったことだから。



「全然。むしろその方が良いけど。メイってバレない?」


「ーーーあ…」


肝心な部分は何も考えていなかった。