いろはにほへと

ー確か、昨年にも、こんな風にしてここに来ましたね。あの時は誰も気付かなかったですが、、


自席に着くと、私はポケットから出した鋏(はさみ)を筆箱の中に仕舞う。


「何?!根暗女!?」

「マジ?さっきの?」


外野の声は、もう、耳に入ってこなかった。




ーあの時に、私の前髪を切ってくれたのは、トモハルでしたね。



すごく嫌で、怒った。

今思えば怒る、なんて、滅多になかったのに。

トモハルと居た時、私は気持ちを素直に出していた気がする。

感情表現が乏しいと言われていた私が、と驚く暇もなく。


ートモハル。

今度は自分の手で、切ったんだ、と言ったら、あなたは驚くでしょうか。