いろはにほへと

あの日から、桂馬とは会えていない。

けれど、充電器なるものを置いて行ってくれたお陰で、スマホは一命を取り留め、元気でいてくれている。

だから、メールや電話は、少しだけ出来ていて、音信不通ではない。

桂馬は澤田が言うには、超売れっ子だから、僅かな時間を作るのですら大変だと思うのに、そして、マスコミの張り付きようもすごいだろうに、必ず一日に一回はどちらかの手段で連絡を取ってくれている。


内容は他愛もない。

だが、それが逆に、安心できる要素のひとつとなって、私の心を慰めてくれていた。


ー今までずっと一人で居ることに、何の違和感も、必要性も、感じなかったのに。



懐かしい、と思う位久しぶりな校舎が現れてきて、ふと自覚する。



ーいつから、私は、一人が怖くなったんでしょう。