いろはにほへと



何度も後悔した。

これが恋ならしなきゃ良かったと。

こんなに苦しい想い等、知らなくて良かった。


もう。

もう、期待したり、苛々したり、焦ったり、会いたいと思ったりするのは、止めにしたい。

無かった事になるんだから、したくても出来なくなるんだから。

だから。

だからー



ベットの布に、ぽた、と涙が落ちた、音がした。


もう、終わりにしたい。


ぶわ、と一気に込み上げてきた無数の涙。


両手で顔を覆った。


「忘れ…たい…」


鼻の奥が、ツンとする。

そう思った瞬間、私の上半身を起き上がらせた力が、強く抱き締めた。


「任せろ。」


押し当てられた桂馬の胸に、私の涙が滲んで、熱を移す。

悪いな、と思うのに、それよりも桂馬の心臓の音が響いて、それが私をもっと泣かせた。


今だけ。

今だけ、思う存分泣いて。


そして、明日になったら、忘れるんだ。

桂馬を好きになるんだ。



塗り替えるんだ。