いろはにほへと


どっくどっく、感じるこの心臓の大きな音は、自分のか。

だけどひとつじゃないのかそうじゃないのかすらも分からない程パニック。

ぎゅぎゅっとされている。

家族じゃないヒトに。

男のコに。

桂馬に。

この状況、どうしろと。

どうすれば、正解なのか、分からない。

だから私は、あたふたあたふたと慌てふためいて、なんとか、桂馬から逃れ出ようとするけれど、がっちりホールドされていて、動けない。



「ーごめん。あと1分、、我慢して。お願い。」


桂馬の声が、間近で響く。

身体に響く。


そうして、初めて気付く。


桂馬が、肩で息をしている事。

熱い事。

多分、走ってきた事。



ー1分、1分て、、、、どれ位だったでしょう???


頭の中は混乱し始めているけれど。

薄暗い部屋。

桂馬の腕の中。


それが、嫌ではなかった。