いろはにほへと



ここ一週間くらい、感じたことのない、外の風が、部屋の中に入り込んできて、カーテンと私の髪を巻き上げる。



「《ひな》」


耳から聞こえる音と。

風と一緒に聞こえた声に、驚く余裕もないまま。


フワリ、舞い上がったカーテンの下から登場した、キャップを被った少年が、窓枠からひょいと飛んで。


「う…わ…き」


抱き締められた拍子に、手からスマホが落ちて、それでもそれが、フローリングには落ちずに、ラグの上に落ちてくれて、良かったと思った。

万が一、ガターン、なんて音がして。



「ひな。良かった…無事で。」


私がよろけた拍子に、ベットの上に倒れて、桂馬もそのまま付いてきてしまって、っていうこんな息が触れる程の至近距離な状況を。




「けけけけけけけけ、桂馬く…ん!?」



駆け付けた母に目撃されたりしたら、私はもう、窓枠にでもなって一生を終えた方がマシだと思う。