「学校の方は、思いの外、生徒達は大丈夫だよ。幸か不幸か、中条さんが目立たなかったから、すごい騒ぎにはなってない。でも、桂馬くんの事は、毎日結構ひっきりなしに話題になってる。だから、、、桂馬くん大変だと思う。ルーチェのハルの噂も全部自分に集めちゃったから…」
そんな。
澤田の真剣な目に、私は驚きを通り越して、愕然とした。
『言わなかったっけ?俺はちゃんとあんたが好きだよ。』
『俺はあんたを守る。ハルは守らなかった。そうだろ?』
『俺はひなを守るよ。それだけは覚えていて。』
ー桂馬くんは…いつも。
私のことばっかり気に掛けて。
私はいつも。
自分の事ばっかりで。
「私…どうしたら…」
桂馬の気持ちを受け止めることも、知ることもしないまま。
ずっとトモハルのことばかりを追い掛けて。
そして、できない辛さに我慢出来ずに、逃げようとして。
本当に逃げなくちゃいけない状況になって初めて、トモハルと二度と会えない現実に押しつぶされそうになっている。
そんな中で桂馬は、たった一人で。
「とにかく、連絡してあげて。それがー多分一番桂馬くんにとって良いと思う。」
言いながら、澤田は学校からのプリントの束を鞄から出して。
「私の個人的な意見で悪いんだけど…ハルよりずっと桂馬くんの方が、中条さんのこと考えてくれてると思う。大事にしてるって思う。初恋って特別な感じするけど、中条さんの場合は最初に初めて接した男がハルだったから、刷り込みみたいな感じで、恋だって勘違いしちゃったのかもしれないって思わなくもないんだよね。」


