いろはにほへと

トモハルは、唄を歌う事が、好きなのではなかっただろうか。

好きな事が、仕事になっているトモハルは、そうじゃない人より幸せなのではないか。

なのに、どうして、時折、苦しそうな顔をしたのだろう。

どうして、逃げたのだろう。


自分の好きな事や得意な分野が、将来、仕事になったのだとしたら、それはすごい事で。

世界中にはそうしたくてもできないひとが山程居る。


だから、トモハルのように、自分のやりたいことを、仕事にして、歩んでいけたのだとしたら、それは、喜ぶべきことなのに。


何故、トモハルは、いつも少しだけ寂しげに笑ったんだろう。


-『花は咲くけど-直ぐに散っちゃうから、哀しいよね。』



出逢ったばかりの頃。


トモハルは私にそう言った。


その花の意味を、私はまだ知らない。


だけど、どこかで、それがトモハルの大事なものと関係しているのではないか、と感じていた。




トモハルは大人だから、上手に隠していたけれど。