いろはにほへと


畳み掛けるような父に、元々つっかえつっかえだった早川は、弱り果てた表情で黙り込んでしまった。


「それから、那遥さん。ひなのさんを今回のことに巻き込んだのは、貴方が原因ですね。どういうつもりで、こんなことになったのか、説明してくれませんか。」


父の前には、週刊誌が広げられている。


私は、心臓が破裂してしまうかもしれないと思う程、極度の緊張に見舞われていた。



何故なら。


幼い頃から今迄、私は、父が激怒した所を、見た覚えがない。

だが、まさに今。

父はー怒っている。


「ですから、単なる応援という名の、軽い気持ちで、深い意味はないとさっきから言ってるじゃありませんか。」


ダイレクト過ぎる問いに、堪えきれず社長が口を出すが。


「そんなふざけた理由で、娘を巻き込んだのかと訊いているんです。」


父の青い焔(ほのお)のような憤りの一振りが、瞬時にその場を凍りつかせた。

低く、冷たい声だった。