「ひとつ…収束する為のご提案がございます。」




申し訳ございませんを数回言ったのち、豊橋社長は昨夜私にしたのと同じ説明をする。



つまり、この誤解を解くため、暫く娘さんを芸能界で活動させていただけませんかーと。



聞きながら私は頭が痛くなってきて俯いた。

絶対無理だし、これ以上は頑張れる気がしなかった。

かといって、良い案は思い浮かばない。

大分落ち着いてはいるものの、自分が昨日からパニックに陥っているのは明白だった。



「それは立派な契約違反じゃないですか?そんなことを飲めと?」

「しかしそうでもしないと事態は悪くなる一方ですよ。なんて言ったってうちのルーチェは、特に那遥はファンが沢山居て強いんです。早く誤解を解かないとー」


母が憤慨して、豊橋社長がそれを宥めて。




「ーどうしてですか」



無言を貫いていた父が、静かに口を開いたのは、その時だった。