いろはにほへと

早川さんなんか憔悴しきっている表情で、じっと何かに耐えているかのように膝の上で拳を握りしめている。



「紹介が遅くなりましたが、私はDYLKの社長で、豊橋と言います。貴女にはPVの件でもかなり御世話になったと聞いています。本当に早くに挨拶に伺うべきでした。お陰さまで大きな話題になっています。」



「は…いえ…おそ、お粗末様でした…」

そうかもしれない、と思ってはいたが、いざそうだと言われると、緊張が二倍増になった気がするし、間抜けな返ししか出来ない。



「ただー大きな話題になり過ぎてしまいーこれは、ご覧になりましたか?」



言いながら豊橋社長は、テーブルの上に広げてあった雑誌を、首を振った私の目の前に置いた。






「ーこれ、は…」



「これは貴女ですか?」




豊橋社長が指差した、片面の写真は。




いつか、トモハルと、早川さんに連れられて、姫子さんの家から新幹線に乗り、降りた駅でタクシーを捕まえた所だった。