「阿立桂馬が来た?!」
「おおおおおおおおお声が大き過ぎるような気がするんですけど?!」
朝のHRを終えて、次の授業までの合間。澤田に朝の一件を伝えると、彼女は座っていた席から立ち上がって、机の上のペンケースが落ちた。
「ああ…ごめんごめん……今をときめく若手俳優だったからつい叫びたい衝動に駆られて…」
私の縮こまりように、澤田ははっとして、また椅子に座り直した。幸い、周囲を見回してみても、皆それぞれトークに夢中になっていて、誰かに聞こえた様子はなかった。
「ででで?!」
急に小声になった澤田が先を促す。私は手短に桂馬とのやりとりを伝え、ハンカチに包んで、鞄にしまっておいた例のブツを広げて見せる。
「げっ…なにこれ、最新じゃん、出たばっかりの。」
澤田の漏らした感想に、桂馬に対して申し訳なさが募る。


