強く引かれたままの腕。
お互いの息が掠める距離。
桂馬だって、「普通」の人じゃない。
だけど、桂馬は、私がトモハルに感じる壁を、いとも簡単に乗り越えてきてみせる。
桂馬との距離は、トモハルと私よりもずっと近い。
所詮、気持ちを伝える空気すら、作ることが許されないような関係だ。
桂馬とだったら、忘れることができるだろうか。
今はまだ、痛くて仕方ないこの思いを。
「…仕方ねぇなぁ。友達から始めてやるよ。」
「ーへっ?」
黙り込んだ私と、現れた沈黙に、何を思ったのか桂馬がパッと腕を解放し、少し身を引いた。
「へ?じゃねぇよ。あんたの気持ちに整理がつくように、友達から始めてやるって言ったんだよ。ありがたく思えよ。」
「え、あ…はい…」


