いろはにほへと

いつだったか。



ーひなののこと、好きだよ



同じように、あっさりと、言われた記憶が、今更ながら蘇る。


生まれて初めての、家族ではない人からの言葉に、あの時はパニックになって、考えられなかったけれど。



「残酷ですね…」



「え?」


苦い記憶を思い出して、顔を顰めた私に、桂馬が訊き返す。


「言葉って、残酷ですね。嘘か本当か、わからないですから。」


良い言葉も、悪い言葉も。


嘘が本当になることも。

本当が嘘になることも。


人を癒すことも、えぐって傷付けることも出来る。





「何?あんた俺のこと疑ってるわけ?」



不機嫌な声にはっとして桂馬を見れば、意地悪そうなブラックスマイル。



「!いやいや、そんなことは…決して…」


「ふーん、この俺様が告白してやってるっていうのに、いい度胸だよなぁ。余裕じゃねぇか、ビギナー。」


「いえいえいえいえ…あのえっとその…」


告白て何。こっちはどうしたらいいの。

目がぐるぐる回りそう、激しく混乱中。