いろはにほへと

ここの屋上は空中庭園になっていて、社員等の憩いの場だ。

だが、この時間帯は、誰もいなかった。

何故なら。


「は……」


自分の息づかいが、乱れて、耳に届く。

高い位置にいけば、ある程度涼しいんじゃないかと期待していたけれど、そんな考えは甘かった。

陽射しが照りつけて、ジリジリと皮膚が焼ける。

それでも戻る気になれず、逃避するように、屋上の端、手摺に寄り掛かった。


眼下に広がるスクランブル交差点。

無数の人々。


向かいのビルには、大型ビジョンがあって賑やかに宣伝を流している。


ーこんなにも人は沢山居るのに。どうしてダメなんだろう。


どうしてー


ぼんやりと考えている所に、聴き慣れたメロディーが流れてきて、出処ーつまり大画面に目が釘付けになった。