いろはにほへと


朝早い時間に流れているのはクラシックだった。



雨と、淡々と流れていく音楽に、ほてった思いも段々と鎮火してくる。





「私らしく、ないですね。」




私は自分自身にそう言い聞かせて、その場を立ち、朝食の準備に取り掛かろうと台所に行く。




「あ!ひなの!」



「・・・・」



なんてバッドダイミング。



ちょうど棚から薬箱を手にしたトモハルが、私を見て嬉しそうに顔を上げた。




かろうじて、タンクトップと短パンを履いている。





「やっさしいなー、やっぱり薬塗ってくれるつもりだったんだね!お願いしまーす!」




「・・・・・」





格好はさっきより断然マシだが、頭の中は変化していないらしい。




外は、しとしとと、雨が降る。



私は仕方なく囲炉裏の前に座り、トモハルの足の甲にできた赤い痕に薬を塗ってやることにした。





「いってぇー」





無言の私に対し、トモハルは始終顔を顰めている。




「…終わりました」




脱脂綿を捨てて、ピンセットを薬箱に戻すと、トモハルは、




「ありがとー!!!」




と言って、自分の足を眺めている。




「じゃ、、、」




そんな彼を前に、ふぅと、呆れにも近い溜め息を吐き、台所に戻ろうとすると。