いろはにほへと


澤田の表情に困惑が広がる。




「住む世界が違うって…」




昨夏、隣にいたのが夢のような出来事で。


今夏、また会えたことが、奇跡みたいな話で。


そして、それが長くは続かないことを知った。



同時にー



「ー私は」



トモハルは自分の良い所を引き出してくれる。

じゃあ、自分は?



「ー彼の、プラスにはならないんです。」



正反対のように生きてきた自分。

キラキラ、眩しくて、明るくて、青く澄んだ空みたいなトモハルに、雨は似合わない。


自分は彼の良い所を引き出せるような人間じゃない。

相乗効果は生まれない。



加えて、父との約束があった。


芸能界とのことは、今回限り。


そんな自分が、彼にとって出来ることはきっともうない。


だから、せめて。


トモハルの創り上げるものの一部に。


すごく苦手だけれど、最後に少しでも、彼の力になれたら。


段々と、そう、思うようになった。