いろはにほへと


「でも…どうしていいのか…わからないんです…前みたいになりたいのに、距離がどんどん開いていくようで、何を考えているのかもわからなくて…」






初めて会った頃よりも、形を変えていくトモハルと自分の在り方。

それは、目に見えなくて、掴もうとすれば消えてしまいそうで、怖くなる。



「中条さんは、自分が何を望んでるか、わかってないの?」



ズズ、飲み終わりを告げるストローの音と共に、澤田が怪訝な顔をして私を見上げた。



「え?」



「その、気持ちをどうするつもりだったの?」




ーどうする…って。




初めての撮影の後の、図書館での桂馬とのやりとりが頭を過る。




「ー終わらせようと…消したい、と思ってます…そうすれば…」




そうすれば、楽になると。




「自分も前みたいに戻れるんじゃないかって…」




解放されるんじゃないかって、期待している。